海藻に魅せられてBackground of Innovation

イノベーションの道程

私たちは文部科学省による「函館都市エリア産学官連携促進事業」において北海道大学水産学部教授(当時)の安井肇氏と出会い、函館近郊で採れる生物資源、ガゴメ昆布の存在に魅了されました。2009年、当事業を発展させるべく、「函館がごめ連合」を立ち上げ、そのブランド化・広報活動に着手することになります。その後、函館近海の海藻全般の価値に着目し、有識者による「海藻活用研究会」を発足しました。同会は海藻関連のオーソリティーとして機能性の研究を中心にシンポジウム、郷土料理発表会の開催なども行い、地域の産業振興に寄与しています。それらの研究をより革新的に推し進め、ビジネスとして持続させるため北海道マリンイノベーション株式会社という法人を立ち上げたのが、2017年6月。同年11月には北海道大学発ベンチャー認定企業として認定され、以来、地域に埋もれていた海藻類の価値発見、数々の商品開発を継続して行なっています。2022年、同社内に実証研究に特化したプロジェクト「海藻科学研究所(SEAWEEDLABO)」を設け、より確実なエビデンスの構築、実用的な製品の開発に力を注いでいます。

海藻の機能性を知る

海藻には人々の暮らし、とりわけ「美と健康」を促進する成分がたくさん含まれています。特に水溶性食物繊維であるフコイダンは応用範囲が広く、食品や医薬品・化粧品などに多く活用されています。海藻科学研究所では海藻それぞれに含まれる成分の特性を見極め、それらを商品開発にフィードバックさせるための研究を行なっています。ガゴメ昆布においては原材料の安定供給を図るため北海道大学大学院水産科学研究院との協働で近海での契約栽培(北大ガゴメ昆布)も実現しています。このほか奥尻島で採れるホソメ昆布のブランド化、岩手県・山田町のアカモクを使った事業展開なども推進しています。

次世代へつなぐこと

私たちの研究成果、地域の水産資源の価値を次世代に繋ぐ活動も行なっています。日本財団「海と日本プロジェクト」との協働においては、ミニ水族館の運営(アクアリウム事業)、ワークショップなどを通して子どもたちに海藻の魅力を伝えています。このほか、彼らに引き継ぐ地球環境の変化にも目を向け、最先端のテクノロジーを使った資源量の調査も行なっています。また、科学的なアプローチだけではなく、古くは交易の要であった昆布をはじめとする海藻を歴史的な視点で考証したり、食文化として海藻の魅力をPRする活動などにも携わっています。